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【正論】「演出」だけが先行する米朝協議 国連安保理専門家パネル元委員・古川勝久

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【正論】
「演出」だけが先行する米朝協議 国連安保理専門家パネル元委員・古川勝久

国連安全保障理事会・専門家パネル元委員の古川勝久氏 国連安全保障理事会・専門家パネル元委員の古川勝久氏

 がむしゃらに米国の優位性の「復権」を追求するトランプ大統領にとって、北朝鮮が対米攻撃能力を保有しない限り、戦略的な重要性は低いはずだ。事実、トランプ大統領は北朝鮮問題への対応をあまりに単純化して考える傾向が強い。交渉の達人を自任する大統領の「直感」で、どこまで北朝鮮の非核化という複雑な問題に対応できるだろうか。

 ≪完全な検証は技術的に困難だ

 「非核化」では、(1)現存する大量破壊兵器(WMD)や関連物資、施設などの解体または無害化(2)将来のWMD計画の再開の阻止(3)持続的なWMD不拡散のための監視-という3つの目標の達成が必要だ。監視活動は長期にわたらざるを得ない。しかも北のインフラは広大で、その全容は依然不明だ。WMD計画の完全な解体は短期間では難しい(化学兵器などは今回の米朝交渉の主要議題としてはほとんど話が出てこない)。

 トランプ大統領の今の任期が切れる2020年までにできることは限られる。仮に北朝鮮が査察に協力しても、それが果たして真実の情報なのか、検証は容易ではない。そもそも百パーセントの確証を得るのは技術的に困難だ。

 したがって「非核化」ではプロセスが重要だ。北朝鮮と米国をはじめとする国際社会が協働することで相互信頼を構築しつつ、査察結果の不確実性を低くする作業が不可欠となる。核弾頭のデザインは、北朝鮮にとってはトップシークレットだけに、北朝鮮がその情報を漏らさずアメリカに提供する日は来るのだろうか。(ふるかわ かつひさ)

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