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【主張】カンヌで最高賞 栄冠を日本映画の弾みに

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【主張】
カンヌで最高賞 栄冠を日本映画の弾みに

 仏カンヌ国際映画祭で是枝裕和監督の「万引き家族」が最高賞「パルムドール」を受賞した。

 日本映画の魅力を新たにする快挙である。

 世界最高峰の栄冠に、カンヌ出品で常連の是枝監督も「足が震える」と述べ、「頂いた勇気と希望を、スタッフとキャスト、若い映画の作り手と分かち合いたい」と語った。

 次代を担う若手の育成を含め、日本映画界をさらに元気にする弾みにしたい。

 過去の日本からの受賞には、衣笠貞之助監督の「地獄門」、黒澤明監督の「影武者」、今村昌平監督の「楢山節考」「うなぎ」と巨匠が並んでいた。

 是枝作品は問題を抱えた現代の家族を通し、その生き方の考証を続けてきた。「万引き家族」は、祖母の年金を頼りにし、足りないものを万引して生活する一家を描いている。

 監督自身が手がける脚本の面白さとともに、樹木希林さんやリリー・フランキーさんら3世代の家族を演じた俳優、子役の魅力を引き出す演出力なども際立った。

 審査員長の女優、ケイト・ブランシェットさんは、「演技、監督、撮影など総合的に素晴らしかった」と高く評価した。

 古い日本の歴史文化への関心にとどまらず、家族という普遍的テーマを扱った映像メッセージが認められたことで日本映画の力と深みが世界に印象づけられた。

 長く斜陽といわれてきた日本映画界だが、一昨年に「シン・ゴジラ」や「君の名は。」が大ヒットするなど、好調の兆しもある。

 一方で興行収入は、アニメーションやハリウッドの娯楽映画などに頼る面も否めない。漫画を原作にした映画が目立つ現状に飽き足らないファンもいる。

 そうした娯楽作品も興行面で欠かせないが、深みのある作品を作り出す意欲のある才能の発掘や育成、発表の機会を広げたい。

 短編やドキュメンタリー作品を含め、海外映画祭で高い評価を受ける日本の映像作家は少なくない。だがそうした監督の作品であっても上映館は限られ、映画制作の資金はなかなか集まらない。

 多様な作品を楽しむ映画ファンの目が映画の魅力を広げる。

 日本の文化を発信する「クールジャパン」に多額の予算を投じるなら、映画の現場に有効な使い道を求めるべきだ。

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