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【千夜一夜】争いと巡礼者の街

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【千夜一夜】
争いと巡礼者の街

15日、エルサレム旧市街のダマスカス門周辺で抗議するパレスチナ人を取り押さえるイスラエル当局者(UPI=共同) 15日、エルサレム旧市街のダマスカス門周辺で抗議するパレスチナ人を取り押さえるイスラエル当局者(UPI=共同)

 米大使館移転に伴う取材のため、エルサレムに出張した。米政権が「エルサレムはイスラエルの首都だ」と認めたことを喜ぶユダヤ人と、「エルサレムは私たちのものだ」と怒るパレスチナ人。その落差を連日、嫌というほど目にした。

 この街を最初に訪れたのは約30年前、大学生のときだった。それからさまざまな出来事が起きたが、イスラエルは国家として存在し続け、パレスチナ人の国はまだできていない。

 エルサレム旧市街にはユダヤ教とイスラム教、キリスト教の聖地がある。表面が摩耗しつるつるになった石畳を歩くたびに、数知れない争いと巡礼者が通り過ぎたのだと実感する。

 知り合った女性が旧市街に住んでいるというので、自宅にお邪魔した。17~18世紀にできたという石造りの家は天井が低く、夏は涼しくて過ごしやすいが、冬はじゅうたんを敷かないと寒いほどだと話した。

 女性は、2000年に始まった第2次インティファーダ(反イスラエル闘争)を機に、ユダヤ教徒とイスラム教徒の敵対心が強まったという。一方で、「旧市街の住民には、互いを敬う気持ちがまだ残っている」と話した。

 住民同士は平和に暮らせても、国家をめぐる争いは続く。この街の宿命としかいいようがない。(佐藤貴生)

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