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【正論】猛烈な圧力こそ北を譲歩させる 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

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【正論】
猛烈な圧力こそ北を譲歩させる 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

外交評論家・杏林大学客員教授の田久保忠衛氏  外交評論家・杏林大学客員教授の田久保忠衛氏 

 例えばボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)の一連の発言だ。5月6日にFOXニュースで同補佐官は「もし北朝鮮が米朝首脳会談前に拘束している米国人を解放すれば、北朝鮮の誠意を示す機会になろう」と言明した。北朝鮮は拘束者の身柄を収容所から他の場所に移すなど低姿勢のサインを外部に送っていたが、ポンペオ国務長官は9日に金委員長と会談し、米国人3人の解放を実現してワシントンに連れ戻した。

 ≪リビア方式が金氏を追い詰めた

 ボルトン大統領補佐官は4月29日に2つの米テレビ番組で、持論のリビア方式をぶった。ブッシュ政権の2003年に、リビアのカダフィ政権に対して米英両国が秘密交渉を進め、大量破壊兵器開発計画の存在を認めさせて即時無条件放棄を約束させ、国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れさせた。関係機材や文書を受け取ったあと、初めて経済制裁措置を解除するという徹底した方式だ。

 大連会談のあと、新華社が伝えた金委員長発言は「関係国が敵視政策と安全面の脅威をなくしさえすれば、核を持つ必要はない」、米朝を通じて「相互信頼を確立し、関係国が責任をもって段階的で同時並行的な措置を講じることを望む」である。これまで「段階的同時並行的な措置」と偽り、米国を手玉に取ってきた北朝鮮が、リビア方式を正面から突きつけられて急遽(きゅうきょ)、中国に泣き込んだと推定していい。

 核を持っていないイランに対してさえも「核合意に従わない」と迫るトランプ政権が、北朝鮮にはさらに高飛車に出たとしても何の不思議があるだろうか。

 ≪「ルール破り」の中国に注意せよ

 弁(わきま)えておかなければならないのは、北朝鮮の背後にいる中国の存在だ。安倍外交は中国との関係正常化を進めているが、同盟国の米国と中国の関係はきわめて悪い。

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