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【正論】「核付き」の平和協定を懸念する 防衛大学校教授・倉田秀也

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【正論】
「核付き」の平和協定を懸念する 防衛大学校教授・倉田秀也

倉田秀也・防衛大学校教授  倉田秀也・防衛大学校教授 

 過日の南北首脳会談の「板門店宣言」をみて、既視感に襲われるのは筆者だけではあるまい。そこに謳(うた)われる「朝鮮戦争終結宣言」は、盧武鉉政権の発案だった。

 2007年の盧武鉉大統領と金正日国防委員長の間の共同宣言(「10・4宣言」)も、朝鮮戦争終戦は「3者、もしくは4者の首脳」によって宣言されると謳っていた。板門店宣言の「南北米中4者会談」と「南北米3者」会談も、概(おおむ)ね「10・4宣言」を踏襲する形をとっている。板門店宣言はまた、銃撃戦が繰り返された黄海の一部水域を「共同漁労地域」に設定するなどの軍事保障措置にも合意したが、これらも「10・4宣言」にすでに言及されていた。

 ≪制度の「4者」軍事の「3者」

 そもそも平和体制には2つの次元がある。その1つは軍事停戦協定を平和協定に転換する制度的次元、いま1つは、あるべき平和協定が「堅固」であるための信頼醸成という軍事的次元である。

 韓国はその制度的次元で、平和協定の主たる署名者は韓国と北朝鮮であるべきとする立場を堅持しつつ、そこに軍事停戦協定の事実上の署名者である米国と中国が関与する平和協定を想定していた。軍事的次元においても、朝鮮人民軍との信頼醸成を図るのは韓国軍であり、在韓米軍の発言力は副次的であるべきだと考えられてきた。板門店宣言でいう「南北米中4者会談」と「南北米3者」は、平和体制樹立の2つの次元を別言したに等しい。

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