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【主張】部活に時間制限 生徒の要望に沿う工夫を

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【主張】
部活に時間制限 生徒の要望に沿う工夫を

 運動の習慣を身につける。先輩と後輩、生徒と教師の間で豊かな人間関係を築く。学業だけでは経験できないことを、中学校や高校の運動部活動は教えてくれる。

 ただし、過度な練習量では生徒が負担を感じ、健康を損ねる。学校側の配慮が必要だ。

 そこで、部活動には週2日以上の休養日を設け、1日の活動時間は平日で2時間程度、休日で3時間程度とする。スポーツ庁がまとめたガイドラインだ。

 海外の研究では、週16時間以上のスポーツ活動でけがや障害を負うリスクが高まるとされる。ガイドラインは妥当な線だろう。

 部活動を通じて生徒がスポーツに親しみ、自身の可能性を広げることが何よりも大事だ。各学校は、スポーツ庁の提示は「目安」として活用し、生徒の要望に沿った部活動にしてほしい。

 指導には、より高い専門性が必要だ。日本スポーツ協会の平成26年度調査によると、中高とも4割超の教員が、未経験の競技で部活動の顧問を務めていた。競技特性を理解しない指導は生徒のけがを招き、体の成長を妨げかねない。生徒、教員のどちらにとっても不幸の原因となる。

 中学では、過労死ラインを上回る月80時間超の時間外労働を行う教員が6割にのぼる。その多くが部活動の指導に時間を取られ、負担に感じている。専門知識を持った外部の指導者を積極的に活用すべき時期が来ている。

 静岡市では29年度から、教員でなくても1人で部活動の指導や試合などへの生徒引率ができる「外部顧問」を制度化した。研修を受けた競技経験者にライセンスを交付し、学校職員と位置づけて報酬も支払っている。参考になるのではないか。

 ガイドラインは高校の部活動にも原則として適用されるが、スポーツに力を入れる学校には柔軟な対応を求めたい。将来的にプロ選手、五輪選手を志す生徒も多い。活動時間の制約で、才能の芽を摘むことがあってはならない。

 一方で、体を動かすことを楽しむレクリエーション志向の生徒もいる。総合型地域スポーツクラブとの連携など、地域の実情に合った取り組みが必要だ。

 スポーツには多様な関わり方があっていい。生涯にわたりスポーツを楽しむ。部活動はその入り口になるものでもある。

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