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【正論】中朝「一心同体」の策謀に警戒を 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

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【正論】
中朝「一心同体」の策謀に警戒を 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

杏林大学名誉教授・田久保忠衛氏 杏林大学名誉教授・田久保忠衛氏

 ≪「友好関係」は回復したか≫

 独裁国の内情はなかなか窺(うかが)い知ることができないので、表面に浮かび上がった事実を重ねて無理のない程度の推定をするほかない。

 金正恩朝鮮労働党委員長は4月23日に、北朝鮮南西部で中国人観光客に多くの死傷者を出したバス事故を受けて、中国大使館を訪れ、病院に負傷者を見舞った。叔父を処刑し、異母兄を暗殺し、少なからぬ数の政敵を抹殺した世にもまれな冷酷非情な人物が、急に人の悲しみを知る人道主義者に化けたのだろうか。

 平壌にいる中国の大使は「金正恩氏や北朝鮮の党、政府、人民が伝統的な中朝親善をどれほど重視しているのか改めて痛感した」と語っている。中朝関係はどれほど悪化していたか。金正恩時代の両国要人間の会談はわずかに6回しかなかった。

 中国共産党の中央対外連絡部の宋濤部長を団長とする芸術団は下にも置かぬもてなしをしたが、昨年、同部長が習近平国家主席の特使として訪朝したときは、金正恩委員長は会わなかったなど、両国間の不可思議な出来事は枚挙にいとまがないほどだ。この豹変(ひょうへん)ぶりはいつから始まったのか。

 時系列的に追っていくと3月26日に突如、北京で行われた習主席と金委員長の会談だ。悪化していた中朝関係を隠蔽(いんぺい)し、外部にはかつての友好関係に戻ったとの印象を何らかの理由で与えたかったと考えてよかろう。

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