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【産経抄】5月2日

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【産経抄】
5月2日

 世の中のあらゆる出来事を賭けの対象にする英ブックメーカーが、10月に発表される今年のノーベル平和賞の受賞者を予想している。なんと南北首脳会談を行ったばかりの韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、先週末の時点で1番人気になっていた。

 ▼予想が当たれば文氏は、韓国で2人目の快挙となる。やはり南北首脳会談を実現した金大中元大統領が、2000年に受賞している。相手は正恩氏の父、金正日総書記だった。ただ受賞は妥当だったか。今から振り返れば否である。

 ▼大中氏がモノやカネを援助してひたすら支え続けた北朝鮮は、平然と核兵器の開発を続けていた。「太陽政策」は大失敗に終わった。さらに会談をめぐって、巨額の資金が不正に北朝鮮に渡っていた事実も明らかになった。つまり、首脳会談をカネで買ったわけだ。

 ▼もっともさすがに当時は、正日氏との同時受賞とはならなかった。北朝鮮国内では、今もすさまじい人権弾圧が続き、日本人拉致被害者が自由を奪われたままである。実の兄や側近をも抹殺した独裁者が、果たして賞に値するのだろうか。

 ▼確かに年によっては、首をかしげるような人物や団体が受賞してきた。ジャーナリストの池上彰さんによると、ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーが推薦されたことさえある。受賞させれば国際的圧力となって、独裁政治を食い止められると、反ナチの政治家は考えたそうだ。池上さんの言葉を借りれば、「褒(ほ)め殺し」の効果を狙った(『ノーベル平和賞で世の中がわかる』)。

 ▼なるほど大いに褒めて、温かく国際社会に迎え入れれば、核・ミサイル開発からきっぱり手を引く。いやいや残念ながら、北朝鮮はそんな国ではない。

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