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【正論】南北の「笑み」を「歴史的」と呼ぶな 福井県立大学教授・島田洋一

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【正論】
南北の「笑み」を「歴史的」と呼ぶな 福井県立大学教授・島田洋一

福井県立大学教授・島田洋一氏(宮川浩和撮影) 福井県立大学教授・島田洋一氏(宮川浩和撮影)

 4月27日の南北首脳会談を「歴史的」と呼ぶのは、歴史を知らない人々だろう。トランプ米政権は大統領以下、「過去25年間の過ちは繰り返さない」と強調してきた。その起点となったのが1991年12月31日の「南北非核化宣言」である。

 そこには、使用済み核燃料再処理やウラン濃縮の禁止などの具体的項目が曲がりなりにも盛り込まれていた。これに北が違反したことが、その後の核危機をもたらしたわけだが、「核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認」しただけの「板門店宣言」には具体性が一切ない。

≪「リビア・モデル」を追求せよ≫

 時計の針を25年以上戻し、しかも無意味なまでに内容を薄めたのが今回の南北合意だった。韓国の文在寅大統領が満面の笑みで金正恩朝鮮労働党委員長を抱擁し、酒杯を交わしている間も、北における核・化学・生物兵器の増産や、収容所での凄惨(せいさん)な虐待は続いている。見据えねばならない現実はもちろんそちらである。

 今後カギになるのはアメリカの対応だろう。「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」の実例がリビア・モデルである。2003年3月、イラク戦争の開始と同時に、リビアは米英に大量破壊兵器を放棄する意向を伝えた。軍事的圧力と制裁の効果であった。その年12月には合意が成立する。リビア方式の特徴は以下のようにまとめられる。

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