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【主張】欧州分断 「内戦」煽る露に警戒せよ

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【主張】
欧州分断 「内戦」煽る露に警戒せよ

 ポピュリズム(大衆迎合主義)や国家主義が勢いづき、民主主義が攻撃にさらされている現状は「欧州の内戦」だ。

 フランスのマクロン大統領が、欧州連合(EU)の欧州議会で行った演説の一節である。

 東欧諸国を中心に強権政治に傾斜した政党が躍進し、難民・移民問題などでEU内の対立を深めていることへの危機感といえよう。

 当事者である欧州各国のみならず、米国や日本も同様の問題意識を持ちたい。

 ハンガリーの総選挙では、EUの移民政策を批判するオルバン首相が大勝した。「非自由主義的な民主主義」を掲げ、メディアにも抑圧的な政策をとっている。ポーランドでも与党「法と正義」が、EUの共通理念である司法の独立を脅かしている。

 3月のイタリア総選挙では、移民排斥を訴える右派「同盟」やポピュリズム政党「五つ星運動」が躍進した。

 マクロン氏の問題提起は、欧州分断を煽(あお)る背後の存在を意識したものだろう。それは、ロシアである。旧共産圏の東欧に接近し、さらにサイバー攻撃や偽ニュースの拡散を通じて米欧への世論操作や選挙介入を仕掛けている。

 ロシアと並ぶ強権国家、中国も欧州に触手を伸ばす。広域経済圏構想「一帯一路」や非営利教育機構の「孔子学院」など、中国式の開発モデルや価値観の対外宣伝が盛んだ。相手国の社会や文化を切り裂く「シャープパワー」を駆使する動きは無視できない。

 オルバン氏ら東欧の強権指導者が中露の台頭を「成功」と称賛するのは警戒すべきだ。

 これらの国は今のところ、国家財政はEUの補助金に頼り、英国に追随してEUを離脱する考えもない。だが、補助金を大幅に減らされれば、失業に悩む若者らが反発し、中露への依存を強める可能性が高い。

 自由と民主主義、法の支配を基盤とする多国間の連合体であることを再認識してほしい。統合のほころびにつけ込む中露には、欧州共通の外交で対峙(たいじ)すべきだ。

 米欧の絆も重要性を増す。マクロン氏が訪米で「米国は多国間主義を堅持し、再投資する責務がある」と呼びかけたのは妥当だ。

 日本は経済、安全保障でもEUとの連携を深めている。欧州の危機に敏感であるべきだ。

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