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【主張】外国人労働者 人数先行の拡大は避けよ

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【主張】
外国人労働者 人数先行の拡大は避けよ

 広がる人手不足の対応策として、政府は外国人労働者を増やそうとしている。主に介護や農業、建設業が想定され、受け入れ拡大には経済界の強い要望がある。

 どの分野で、どの程度の外国人を受け入れる必要があるのか。この点をきちんと議論しないまま、「人数先行」でなし崩しに拡大することは避けなければならない。

 政府は受け入れ拡大に向けて、新たな在留資格の創設を検討している。最長5年間である技能実習制度の修了者が一定の要件を満たせば、さらに最長5年間の就労を認めようというものである。

 6月にもまとめる「骨太方針」に盛り込んで今秋の臨時国会で法改正を図り、来年4月の制度発足を目指す算段だ。

 そもそも、人手不足は景気の影響もさることながら、過去の少子化によって勤労世代が激減し始めたことによる要因が大きい。それは今後、あらゆる業種で人手が足りなくなることを意味する。

 その多くを外国人で穴埋めしようとするなら、毎年何十万人も受け入れなければならなくなる。その一方で、日本人の若者には就労していない人や不安定な雇用に追いやられている人が多い。

 現状でも外国人労働者の受け入れ態勢は十分といえない。言葉の壁が立ちはだかり、必要な医療を受けられなかったり、クレジットカードなどの契約に手間取ったりするケースが見られる。

 こうした状況の改善を後回しにし、業界が欲しがる人数をそろえようとすれば、外国人の生活トラブルはさらに増えよう。

 それ以前の問題がある。習得した技術を母国で生かしてもらおうという、技能実習制度の目的からさらに逸脱しないかである。

 すでに、実習制度は実質的な就労制度に変質している。違法な低賃金や給与の不払い、長時間労働など劣悪な環境を強いているとの指摘は後を絶たなかった。

 単に就労期間を5年延長させるだけでは、状況は悪化しよう。政府は受け入れ拡大に際し、家族の入国は認めない方向だという。これはこれで、人道問題に発展しかねない問題をはらんでいる。

 外国人労働者について、さまざまな課題が横たわることを認めなければならない。政府には長期的な視点を持ち、総合的な戦略を立てることを求めたい。

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