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【正論】リターンマッチが可能な社会に 社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋

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【正論】
リターンマッチが可能な社会に 社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋

社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋氏(栗橋隆悦撮影) 社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋氏(栗橋隆悦撮影)

 少し前に、知り合いの大学院生から大学教員に内定したというメールをもらった。大学院生の就職事情がよくない時代だけに、うれしいメールだった。しばらくしてこの院生から電話がかかってきた。共同研究をしたことのあるアメリカ人の大学教授に内定の報告をすると、メールでこんなことをいわれたがという相談だった。

≪初職が将来を決めるアメリカ≫

 アメリカの教授から就職先の大学はリサーチ(博士課程がある研究)系大学なのかティーチング(教育を主とする)系大学なのかと聞かれた。内定先の大学には修士課程もあるが、院生が勤務する学部には大学院がないことから、ティーチング系大学だと返信した。それに対して、こう返ってきたというのである。ティーチング系大学に職を得てしまうと、将来一流のリサーチ系大学に移動しにくくならないかというのである。

 アメリカ人教授の懸念の意味がわかりにくいという院生からの相談は、日米の大学教員労働市場の違いを表している。

 アメリカ大学教員労働市場では「経路依存効果」が大きく、いったんティーチング系大学に勤務するとその経歴がリサーチ系大学への移動に足枷(かせ)となる。それが頭にあっての忠告だったのである。

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