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【日曜に書く】論説委員・河村直哉 戦後、遠ざけられたもの

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【日曜に書く】
論説委員・河村直哉 戦後、遠ざけられたもの

 独立の思想

 漢意に関して、評論家の石平氏が最近の著書で宣長を「脱中華の日本思想史」という観点から論じていておもしろい。自己を中心にして周辺を野蛮と見る中華思想に対して、日本の思想はそこからいかに脱出するかを課題としたという。

 聖徳太子の時代、隋への国書に「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す」としたのは独立宣言だった。記紀は中国とは異なる日本の政治思想の伝統を作った-。石平氏はそう歴史をたどり、宣長の漢意排除で日本の思想、学問は中華との決別を告げるまでに進化したとする(『なぜ日本だけが中国の呪縛から逃れられたのか』)。

 確かに『古事記』の注釈をはじめとする宣長の仕事は、日本人のルーツと精神的な独立にかかわるものといってもよい。自らの出自を知らない者が、真に独立しているとはいえまい。

 いびつな姿

 以下、若干の私事など。

 関西に長く住んでいるので、ここ20年近く、2、3年に1度は花の時季の吉野を訪ねることをならわしとしてきた。

 人出が多いから、早朝に現地に着くよう出発する。午前中に上千本まで登り、人混みがさらに増すころには帰路に就く。

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