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【主張】沖縄ご訪問 鎮魂と交流をつなげたい

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【主張】
沖縄ご訪問 鎮魂と交流をつなげたい

 天皇、皇后両陛下が沖縄県を訪問された。先の大戦の戦没者を追悼し、日本最西端の与那国島に初めて足を運ばれた。

 天皇陛下は84歳、皇后陛下は83歳になられる。慰霊を重ね、遠い島々をめぐり、国民の安寧と幸せを祈られる両陛下のご意思を深く心に受けとめたい。

 両陛下の沖縄ご訪問は、皇太子同妃時代を含め11回目となる。来年4月末の譲位を控え、再訪を強く希望されたという。

 沖縄は先の大戦の激戦地だった。昭和20年4月に沖縄本島に上陸した米軍との間で地上戦は熾烈(しれつ)を極めた。戦後も苦難の道を歩み米軍施政下から本土復帰を果たしたのは47年のことである。

 陛下の沖縄への思いは、昭和天皇から引き継がれている。62年秋の国民体育大会の際、昭和天皇の初訪問が決まっていたが、体調の悪化で果たされなかった。

 陛下が挙げられる、忘れてはならない4つの日がある。8月15日の終戦の日、8月6日と9日の広島、長崎の原爆忌、そして6月23日の沖縄慰霊の日だ。

 戦後50年の節目の平成7年には、広島、長崎、沖縄、東京・下町の戦跡地をめぐる「慰霊の旅」を果たされた。

 今回は2泊3日で、27日に沖縄入りされた両陛下は、糸満市の国立沖縄戦没者墓苑で白菊を手向け、深々と頭を下げられた。

 遺族らの列に歩み寄り、「たくさんの戦没者をお守り下さり大変でしたね」「がんばってこられましたね」などと言葉をかけられたという。

 28日には与那国島で伝統芸能を鑑賞され、日本最西端の碑をご覧になった。離島訪問を重ね、交流を大切にされてきた。

 皇太子時代の昭和50年に沖縄を初めて訪問された直後のエピソードを改めて紹介したい。ご進講を受けていた沖縄学の第一人者を呼び、お歌を示された。

 沖縄伝統の琉歌を詠まれていた。《花よおしやげゆん人知らぬ魂 戦ないらぬ世よ肝に願て》(花をささげましょう 人知れず亡くなっていった多くの人々の魂に対して 戦争のない世を心から願って)。16~17世紀の琉歌集から学ばれていたという。

 両陛下の沖縄ご訪問を機会に、豊かな海に囲まれた日本の長い歴史や文化に改めて理解を深め、次代につなげていきたい。

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