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【主張】金正恩氏の訪中 「非核化」の真意見極めよ

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【主張】
金正恩氏の訪中 「非核化」の真意見極めよ

 米朝首脳会談を控え、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が電撃的に中国を訪問した。

 独裁者が自ら動いたことで驚きが広がり、さまざまな臆測が出ている。核・ミサイルをめぐる危機の克服に資する動きなのか、冷静に見極めることが必要である。

 注意したいのは、習近平国家主席との会談で金正恩氏が「朝鮮半島の非核化の実現に力を尽くす」と表明した点である。

 非核化を約束し、実現すべきなのは北朝鮮自身である。真の意図は、米国による「核の傘」の弱体化にあり、それを非核化と称している疑いは消えない。

 在韓米軍の抑止力低下を求め、中国も同調する。そんな事前調整だったとしたら、米朝会談の進展を妨げるものとなりかねない。

 非核化に関する金正恩氏の発言は、中国側メディアが伝えた。金正恩氏は祖父の金日成主席、父の金正日総書記から続く「遺訓」としての非核化を目指す立場は変わらないと述べたという。

 もっとも、核実験やミサイル発射を繰り返し、「国家核戦力完成の偉業を果たした」と宣言したのは金正恩氏である。どこが非核化を目指していたか、である。

 「非核化の遺訓」は、今月初めに訪朝した韓国特使も、金正恩氏から聞いたという。実質を伴っておらず、融和を誘う対外的な常套(じょうとう)句と受け止めておくべきだ。

 必要なのは、核・ミサイル開発の放棄を内外に明言し、検証可能かつ不可逆的な形で非核化を進めることでしかない。

 金正恩氏にとり、2011年に最高指導者となってから初の外遊だった。体制の命運がかかる重大局面で、中国を巻き込んでおこうと判断したのだろう。

 中国は朝鮮戦争以来の「血の友誼(ゆうぎ)」をうたう北朝鮮を経済的に支えてきた。国連安全保障理事会の対北制裁決議に抵抗するなど、ことあるごとに擁護してきた。

 こうした姿勢が、北朝鮮の独裁体制を維持させ、核・ミサイル危機を高める要因となった。最近になり、中国も日米の働きかけで経済制裁に加わり、北朝鮮との関係悪化がうかがえた。

 非核化の完全な達成に向け、中国は大きな責任を持つ。米朝対話にかこつけ、安全保障面で自国の利益を得ようとすることは許されない。ここでも日本は米国、韓国と十分連携して対処すべきだ。

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