産経ニュース

【日曜に書く】論説委員・山上直子 クニマス「復活の日」とは

ニュース コラム

記事詳細

更新

【日曜に書く】
論説委員・山上直子 クニマス「復活の日」とは

 先祖は氷期のサケ

 では、日本固有のクニマスとはどんな魚なのか。

 中坊さんの受け売りだが、そもそも田沢湖は180万~170万年前に火山の噴火でできたカルデラ湖だ。太古は海にいたベニザケの祖先が、氷期に地殻変動で湖に閉じ込められて進化した。海と淡水を行き来する「降海型」に対し、一生を淡水で暮らす「陸封型(コカニー)」と呼ばれる。以来ずっと長い年月を田沢湖で暮らし、種と命をつないで日本固有のクニマスになったのである。

 それが、人の手による環境変化で、ほどなく消えてしまった。東北で大凶作が続き、環境問題の意識すらなかった時代のことだが、今後の教訓として語り継ぐべきだろう。

 昨夏、田沢湖のある仙北市に「田沢湖クニマス未来館」がオープンした。生きたクニマスも展示され、地元では田沢湖でのクニマス復活をめざしている。水質改善や今後の養殖研究に期待したい。

 共存共栄こそ

 昨年、長崎の対馬で国内では38年ぶりにカワウソが確認され、絶滅したニホンカワウソが生きていたかもしれないと話題になったとき、常に引き合いに出されたのがクニマスだった。

 クニマスは、地球から消えゆく生き物たちの復活のシンボルになっている。

 以前、本当にクニマスが復活したといえるのはいつかと中坊さんに尋ねたことがある。答えは「クニマスを食べる日」。

続きを読む

「ニュース」のランキング