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【正論】この荒野で君はまだ戦えるか 日本大学教授・先崎彰容

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【正論】
この荒野で君はまだ戦えるか 日本大学教授・先崎彰容

先崎彰容・日本大学教授 先崎彰容・日本大学教授

 西南戦争のいぶきを感じ取る

 昨年8月25日のことである。筆者は午後の熊本空港に降りたった。これから1週間ほどの間、西南戦争の舞台となった九州各地を訪れ、国内最後の内戦のいぶきを感じ取ろうと思ったからである。

 春先から書き始めた『未完の西郷隆盛』(2017年12月、新潮選書刊)の原稿は、終わりに近づいていた。書き進めるために文献に目を通していると、驚くべき事実にしばしばぶつかった。例えば西南戦争当時、福澤諭吉はひそかに西郷を支持する論文『丁丑公論』を認(したた)めている。武士の「抵抗の精神」を保持した西郷は、日本の近代化を無事達成するための精神の高貴さを教えてくれる。だから今回の戦争にも一定の評価をすべきだというのが、福澤の西郷擁護論だった。

 ここまでなら、西郷と福澤の関係を調べた者なら知っている事実である。私が驚いたのは、福澤全集のなかに出てくる、西南戦争分析の言葉であった。福澤は西南戦争を「情報戦」だと喝破していた。電信や郵便、鉄道網が普及する時代に戦争は起きた。官軍はこれらを駆使して速やかに兵隊を移動させ、暗号を駆使して薩軍の動きを察知する。ところが薩軍はこうした最新機器に全く弱い。これが戦争の勝敗を決したのだ-。

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