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【イタリア便り】就職試験シーズン…縁故主義、どこにでも

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【イタリア便り】
就職試験シーズン…縁故主義、どこにでも

 就職試験の季節が始まろうとしている。「君はいいな、コネがあるから」などの会話が聞かれるシーズンである。コネ、すなわち縁故主義は英語でもフランス語でもネポティズムである。この語源は、中世のカトリック教会で世俗的権力を持った高位聖職者が後継者に自分の息子を、ラテン語でネポス、つまりイタリア語の「ニポーテ(おい、めいの意)」と称し登用する悪例から端を発したといわれる。

 その最悪の例を作ったのが、約500年前のボルジア家出身の法王アレクサンデル6世である。

 彼は、愛人に産ませた子供を「ニポーテ」と呼んで、枢機卿(法王選挙権を持ち当時は数が少なく絶大な権力を持っていた)などに任命し自分の周囲を身内で固めようとした。

 小説の主人公にも取り上げられた息子のチェーザレ・ボルジアは枢機卿、軍人、政治家として活躍し、娘のルクレツィア・ボルジアは一度結婚していたが、法王宮殿内で豪華な結婚式を挙げ有力貴族ペーザロ公と結婚させられた。全ての人が実情を知っていたが、公式には「おい」であり、「めい」であったのである。

 縁故主義は人間社会どこにでも存在し、わが国の政界の2世、3世議員などもその類であるし、中国の太子党などもその部類に属する。(坂本鉄男)

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