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【正論】原発ゼロ法案の落とし穴は何か 国際環境経済研究所理事・竹内純子

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【正論】
原発ゼロ法案の落とし穴は何か 国際環境経済研究所理事・竹内純子

国際環境経済研究所理事 竹内純子氏 国際環境経済研究所理事 竹内純子氏

 立憲民主党は近く、全ての発電用原子炉廃止を政府目標とする「原発ゼロ基本法案」を国会に提出する予定であるという。具体性も現実性もあまりに欠如した内容だからか、話題に上ることはほとんどないようだが、少し真面目に「原発ゼロ」を考えてみたい。

 政策変更の責任は必要だが…

 この法案が目指す「施行後5年以内に全ての原発の廃炉を決定」することは可能だろうか。

 筆者は、それ自体は可能だと考える。しかし、課題は多い。まず、投資回収の終わっていない原子力関連施設に対する補償が考えられる。法的に電力の供給責任を課せられた事業者が建設し、政府が認可した発電所を、政策変更によって予定の稼働年数より早く廃炉にするということであれば、何らかの補償が求められるであろうことは、原発ゼロ基本法案にも言及されている通りだ。

 また、発電所が生涯働いてためるはずだった自分の「お葬式代」、すなわち廃炉費用の積み立てが間に合わないことへの手当ても必要だ。その他、当面原子力を代替する火力発電所の燃料費や、将来の経済効果への期待を持ちつつ、これまで国に協力してきた立地地域への補償などが挙げられる。

 しかし政策変更の責任として応分のコストを国が負担すれば、事業者としては反対するものではないだろう。もし私が電力会社の経営者であったなら、地元の合意や裁判の結果で、いつ停止するか分からない原子力発電の事業リスクを遮断してもらえることに、むしろ安堵(あんど)するかもしれない。

 廃棄物処分事業のリスクは依然残るが、それはこれまでの発電事業の結果として当然責任を負うのであり、発電事業の継続による大差はない。

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