産経ニュース

【正論】明治維新のアジア史的「意味」 東京大学名誉教授・平川祐弘  

ニュース コラム

記事詳細

更新

【正論】
明治維新のアジア史的「意味」 東京大学名誉教授・平川祐弘  

東京大学名誉教授・平川祐弘氏 東京大学名誉教授・平川祐弘氏

≪日本を文明史的に方向付けた人≫

 外国でお札には大統領や皇帝の肖像が選ばれるが、日本で最高額紙幣に登場するのは、昔は聖徳太子で今は福沢諭吉の一万円札である。この選定は興味深い。二人は日本が進むべき文明史的方向を示した人物であった。

 聖徳太子(574~622)は日本人の目を大陸の文化に向けた。英語でいえば Japan’s turn to China の指導者である。607年に遣隋使を派遣し、漢訳仏典など漢字文化の学習を奨励した。日本人は爾来(じらい)、千数百年間、漢文を習った。

 東アジアの知識層は四書五経を尊び、堯舜が徳で天下を治めた古代中国を文明の範とした。そんな儒教を学んだ日本は中国中心の華夷秩序に収まるかに見えた。しかし政治的には「日出る国」の日本は独立で、中国と宗属関係にあった半島地域とは違った。

 福沢諭吉(1835~1901)は漢文も達者だが、維新前に三回西洋に渡航し、オランダ語も英語も解した。漢籍でなく英書により近代文明を学ぶ必要を説き、和漢の学者を「その功能は飯を喰う字引に異ならず」と揶揄(やゆ)した。

続きを読む

「ニュース」のランキング