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【正論】カリスマ支配めざす習氏の野心 文化人類学者・静岡大学教授・楊海英

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【正論】
カリスマ支配めざす習氏の野心 文化人類学者・静岡大学教授・楊海英

静岡大学の楊海英教授 静岡大学の楊海英教授

 中国の習近平国家主席は目下、3月5日から開かれる全国人民代表大会で自らの名前を冠した思想を憲法の中に書き込む準備をしている。実現すれば、中華人民共和国の創設者、毛沢東と並ぶ権威が確立されることになる。

 神話づくりに成功した毛沢東

 マックス・ウェーバーはその大著『経済と社会』の中で、古今東西にわたる世界史的規模の社会制度について分析した際に、支配の3つの類型を示した。それは、カリスマ的支配と伝統的支配、そして合法的支配である(『権力と支配』)。カリスマ的な支配は狩猟のリーダーや部族の勇将の活躍に淵源(えんげん)し、超自然的な力を持つ者が集団を統率するのに神から遣わされたという神的性質を帯びる。

 毛沢東はカリスマ的支配の重要性を認識していた。弱小の紅軍を率いて、国民党軍の掃討から逃亡しようとして南国江西省を発(た)ち、北部・延安を目指した途中に、彼は神話を次から次へと創りあげた。「毛は不死身だ」「毛は救世主だ」といった伝説を広げながら一路、北上した。延安に落ち着いたときには、不名誉な逃避行も「長征」や「北上抗日」との美談に作り替えた。

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