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【日曜に書く】「或る経済的○○」が残る 論説委員・清湖口敏

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【日曜に書く】
「或る経済的○○」が残る 論説委員・清湖口敏

 国際化の時代にあって英語は確かに重要な言語だ。ただ、日本の有名企業が英語を社内公用語とし、一部自治体の教員採用試験で英語力の高い受験者に優遇措置を与えるといった英語有利の流れがそのまま、国語軽視へとつながりはしまいかと心配でならないのである。

 “教育熱心”な親の大半は子供の将来を案じ、日本語もまだ十分でない幼児にまで英語を習わせるだろう。それが出世の武器になるとあれば、英語を日常的に使いたいと考える若者も当然増えよう。日本語を日常語としなくなった日本人に、国語のDNAは何の変異も起こさずに継承されるだろうか。

 杞憂(きゆう)なら、それに越したことはない。しかし世界には、経済的利益のために母語から他の言語に乗り換える動きが実際にある。例えばアイルランドだ。

 ◆アイルランドでは

 民族語であるアイルランド語と英語との言語交代が起きているのである。「アイルランド語には、貧困、後進性などのネガティブなイメージがつきまとってきた。19世紀半ばの大飢饉(ききん)がアイルランド語使用人口に大打撃を与え、アイルランド語衰退を決定づけたことが、こうしたイメージの根底にある。飢饉以後、海外に移住することが生きる唯一の手段だと考えた人びとは、アイルランド語を捨てて英語を学ぶことを選んだ」(明石書店刊『アイルランドを知るための70章』)

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