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【北京春秋】国境の交差点に流れる中国とは思えぬゆったりとした時間

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【北京春秋】
国境の交差点に流れる中国とは思えぬゆったりとした時間

 その女性は、交差点近くの小さなギョーザ店で唐の漢詩をノートに写していた。「鵝、鵝、鵝」。駱賓王(らくひんおう)の「ガチョウを詠ず」である。

 ラオスとの国境に接した中国南部、雲南省磨●(モーハン)。1月下旬の昼下がり、気温は24度ある。

 「注文を取ってくれ」。店内の客が大声を上げると、彼女は慌てて立ち上がり、たどたどしい言葉で応対し始めた。聞いてみると、ラオス出身の21歳の留学生だった。

 中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」のもと、中国と東南アジアの経済・文化交流は盛んだ。交通の要衝、磨●でも大型トラックが土煙を上げて行き来していた。

 シャンワンと名乗ったその女性は昨年9月から近くの学校で中国語を学んでいる。数百人のラオス人留学生がいるという。授業料は年間13万円相当。学校が休みの間、アルバイトをしているらしい。「夢? 中国語がうまくなって観光ガイドをしたい。できるかな」。恥ずかしそうに笑った。

 店長夫人の劉明霞さん(54)は東北部の吉林省出身だ。「町内の他の場所に幹線道路ができる予定で、店の前の交通量が減るわ。仕方ないわね…」

 店長はというと通りで将棋を指している。劉さんはシャンワンとギョーザ作りを始めた。中国とは思えないゆったりとした時間が流れている。(藤本欣也)

●=敢の下に心

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