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【正論】世界に抜きんでた優秀な勤労者を育てた教育 「共通テスト」は日本の強み培うか 社会学者・関西大学東京センター長・竹内洋

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【正論】
世界に抜きんでた優秀な勤労者を育てた教育 「共通テスト」は日本の強み培うか 社会学者・関西大学東京センター長・竹内洋

社会学者・関西大学東京センター長・竹内洋氏(栗橋隆悦撮影) 社会学者・関西大学東京センター長・竹内洋氏(栗橋隆悦撮影)

 前段は、いくら学んだところで、自分で深く思索していかなければ、知識を生かせることにはならないという意味で、後段は、自分の狭い知識や体験をもとに思索するだけでは独断的で危険である、ということである。かつての日本の教育が「学びて思わざれば、すなわち罔し」にあったとして批判する教育改革が「思いて学ばざれば、すなわち殆し」の方にならないとはいえない。

 しかも私大の4割は定員割れしているから、新しい学力どころか基礎学力さえ問われず入学できる者は少なくない。18歳人口はさらに減る。このままではますます基礎学力軽視になりやすい。基礎学力と応用力や表現力の両方を身につけた「学力強者」と、どちらも不十分な「学力弱者」の“学力カースト社会”にもなりかねない。

 明治以来、日本の教育は、江戸時代に培われた読み書き算盤(そろばん)(算術)にはじまる基礎知識・技能を万人に身につけさせることに腐心してきた。そのことで世界に抜きんでた厚みのある優秀な勤労者を育ててきた。この日本の強みを水に流してしまうことがないように注視していきたいものである。(社会学者・関西大学東京センター長・竹内洋 たけうちよう)

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