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【正論】「同盟」と「民族」に挟撃される文在寅氏 半島の局地的「平和」は地域の安全の犠牲伴う 防衛大学校教授・倉田秀也

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【正論】
「同盟」と「民族」に挟撃される文在寅氏 半島の局地的「平和」は地域の安全の犠牲伴う 防衛大学校教授・倉田秀也

防衛大学校教授・倉田秀也氏 防衛大学校教授・倉田秀也氏

 「いかなる同盟も民族に勝ることはありません」-。これは1993年2月に行われた金泳三大統領の就任演説の一文である。当時、北朝鮮は核拡散防止条約(NPT)脱退を宣言する直前で、南北間には「非核化共同宣言」などの協議枠組みが生きていた。民族内で核問題は解決しうるとする信念が、この演説には漲(みなぎ)っていた。

 北朝鮮が平昌五輪への「参加」意思を表明し、それを受け入れる文在寅政権をみるに、金泳三氏が謳(うた)い上げた演説が脳裏を過(よ)ぎる。

≪ハードル下がった対南武力行使≫

 過去、南北間には許多(あまた)の合意文書が交わされながら、履行されているものはない。しかも文在寅大統領は金泳三氏ら保守政党人にアンチテーゼを唱える「進歩派」の系譜に属する。「民族派」を自認する「進歩派」の文在寅氏が平昌五輪を機に、南北対話を再開しようとすることは想定されていた。

 北朝鮮の「対米核抑止力」が向上するほどに、北朝鮮は米国の朝鮮半島への軍事介入を抑止できると考える。それは北朝鮮の対南武力行使のハードルを下げるであろう。その「対米核抑止力」は、もはや大陸間弾道ミサイル(ICBM)完成目前に迫っている。だが、北朝鮮がそのハードルを実際に跨(また)ぐのかは、韓国の政権の系譜による。北朝鮮が「進歩派」の韓国大統領をいかに扱うか。導き出せる経験則がないわけではない。

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