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【産経抄】世界最強のヘリコプターに何が起こったのか 2月7日

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【産経抄】
世界最強のヘリコプターに何が起こったのか 2月7日

 安倍晋三首相は、平成25年度の防衛大学校の卒業式で述べた訓示のなかで、2人の航空自衛隊員の名前を挙げた。11年11月に練習機がエンジントラブルを起こし、埼玉県狭山市の入間川河川敷に墜落した事故で、殉職したパイロットである。

 ▼2人は住宅街からできるだけ離れようと、最後まで操縦桿(かん)を握り続けた。そのため脱出が遅れ、地面にたたきつけられたとみられる。「2人はまさに命を懸けて、自衛隊員としての強い使命感と責任感を私たちに示してくれたと思います」。

 ▼陸上自衛隊西部方面航空隊所属のヘリコプターが墜落、炎上したのは佐賀県神埼市の民家だった。2人の操縦士は死亡した。1人で留守番をしていた小学5年の女児(11)は間一髪で外へ避難し、軽傷を負うだけで命に別条はなかった。生きた心地がしなかっただろう。

 ▼事故を起こしたAH64Dは、世界最強にして、1機70億円といわれる最も高価なヘリコプターでもある。2人は、優秀なパイロットに決まっている。住民の巻き添えを避けるために、死力を尽くしたに違いない。それがかなわなかったほどのトラブルとは、一体何か。

 ▼ヘリコプター、そして航空機の歴史は、悲惨な事故の歴史でもある。ただ民間機の事故は確実に減っている。前にもコラムに書いたが、昨年はなんと世界を見渡しても、ジェット旅客機の死亡事故はゼロだった。それに引き換え、昨今の自衛隊機の事故は多すぎる。

 ▼もちろん過酷な訓練を続ける自衛隊機と民間機を単純に比べるわけにはいかない。それでも、事故の原因を徹底的に追究し、再発防止に生かす取り組みは、共通しているはずだ。自衛隊が安全面を含めて最強の組織でなければ、安心して国の守りを任せられない。

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