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【オリンピズム】冷たい戦いを超えて(16)またも政争の犠牲になり残念

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【オリンピズム】
冷たい戦いを超えて(16)またも政争の犠牲になり残念

米国のジョーン・ベノイト(共同) 米国のジョーン・ベノイト(共同)

 「澄み切った瞳で目の前の地面をじっと見つめていた」。ともにレースに挑んだある選手は彼女のスタート前の印象をこう思い起こした。

 気温16度と絶好のマラソン日和。真っ白な野球帽をかぶり、スタートから快調に飛ばす。4キロ地点まで先頭集団を引っ張ると、後方を振り返り、ペースが遅いとでも言いたげにスパートをかける。その後は振り返ることもなくゴールを駆け抜けた。

 モスクワ五輪から4年、所は変わって米西海岸のロサンゼルス。五輪で初めて採用された女子マラソンで米国のジョーン・ベノイトが“初代女王”の座に輝く。しかも険しい道を乗り越えて…。

 五輪の2年前に両足のアキレス腱(けん)を手術。「奇跡は起こらないよ」という医師の言葉を練習で覆し、五輪前年のボストンマラソンで世界最高を記録すると、五輪予選前に膝を痛めてまた手術。それでも「一度死んでいる」と屈することなく五輪に飛び込んだ。

 《ドン底からはいあがった女王に神様はなんと素晴らしいプレゼントを用意しておいてくれたのだろうか。胸の金メダルがカリフォルニアの太陽にキラリと光った》

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