産経ニュース

【日曜に書く】「出ていけ!」「連載中止だ!」怒鳴り合った夜…西部邁さんの柔らかく温かい手のひら 論説委員・河村直哉

ニュース コラム

記事詳細

更新

【日曜に書く】
「出ていけ!」「連載中止だ!」怒鳴り合った夜…西部邁さんの柔らかく温かい手のひら 論説委員・河村直哉

西部邁さん(桐原正道撮影) 西部邁さん(桐原正道撮影)

 断片的なものだが、その夜の記憶は鮮明である。

 12年前、東京。その人と飲んでいた。3軒目、歌の歌える店に行ったときには、かなりアルコールが入っていた。

 何曲か歌っていると、「出ていけ!」と、その人の怒声が店中に響いた。

 何のことかわからない。理由を聞いたはずだが、はっきりした答えはなかったと思う。次に覚えているのは、「連載中止だ」と怒鳴り返して店を出たことである。

国内の保守分断

 その人とは、1月21日に亡くなった評論家の西部邁さんであり、連載とは産経新聞紙上で平成18年春から始まった西部さんの「保守再考」である。始まってまだ数回目のころのできごとだったと記憶する。

 2003(平成15)年のイラク戦争開戦前後から、国内では米国との関係を重視するいわゆる親米保守と、米国に同調する日本に批判的ないわゆる反米保守が、分断した状況ができてしまっていた。

 西部さんは親米とされる人と激しく論争し、反米の代表格とみなされていた。メディアについても批判の対象にし、本紙との距離もあいてしまった。

 筆者には、西部さんは反米というより、日本の伝統に根ざした論を展開しようとしているように思えた。米国に対する立ち位置が違ってはいても、親米も反米も日本を思う気持ちに変わりはない。分断は残念なことに思われた。本紙に書いてくれるだろうかと心配しつつお願いした「保守再考」だった。

続きを読む

関連ニュース

「ニュース」のランキング