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【主張】北朝鮮の密輸船 海の「抜け穴」を見逃すな

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【主張】
北朝鮮の密輸船 海の「抜け穴」を見逃すな

 海上自衛隊のP3C哨戒機が20日、東シナ海の公海上で、北朝鮮船籍のタンカーにドミニカ船籍のタンカーが横付けしているのを確認した。

 積み荷を移し替えていたとみられる。北朝鮮による、制裁逃れの密輸の現場だった疑いが強い。政府は写真を公開し、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会に通報した。

 国連安保理の制裁決議は、北朝鮮に核・ミサイル戦力の放棄を迫るものであり、国連加盟国は厳格に履行しなければならない。

 平昌五輪に向けて南北融和ムードが高まっても、核・ミサイルの脅威はいささかも減じていない。厳格履行の重要性は不変だ。

 制裁決議は、北朝鮮産の石炭や鉄鉱石を禁輸対象とし、石油輸入も大幅に制限した。洋上での積み荷の移し替えも禁じている。

 制裁を有効に機能させ、金正恩政権に打撃を与えるには、海上での密輸取引阻止が大きな課題となる。海の「抜け穴」を見つけ出し、ふさぐ必要がある。

 韓国は昨年末、公海上で北朝鮮の船舶に石油精製品を移し替えた香港船籍のタンカーを摘発したことを明らかにした。海自も昨年12月以降、制裁逃れに対する公海上の警戒監視活動を強めている。

 関係各国が緊密に連携し、情報を共有して、密輸取引の仕組みを明らかにすることが重要だ。とりわけ、北朝鮮との取引相手を突き止め、密輸を繰り返させないことが求められる。

 米政府が先に発表した独自制裁の強化策は、6隻の北朝鮮船を対象に追加指定するなど、密輸阻止への圧力強化の一環といえる。

 このうち1隻はロシアへ石炭を運搬したという。このほか、中露などで活動する16個人、中国企業を含む9団体が制裁対象に追加指定された。

 海の「抜け穴」でも、中露の関与が指摘される。中露は安保理の常任理事国である。決議不履行が疑われること自体、あってはならないことである。

 今の時期の制裁強化は、北朝鮮の平昌五輪参加とかかわりなく、圧力はけっして緩めないとの意思表示にもなる。欧州連合(EU)も独自制裁の強化を発表した。

 圧力強化の継続は、米国とカナダが主導し、日本と韓国を含む関係国が参加した今月中旬の外相会合でも確認した。文在寅政権は、これを肝に銘じてもらいたい。

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