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【マーライオンの目】引っ越し貧乏

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【マーライオンの目】
引っ越し貧乏

 賃貸契約の更新を機に、4年間暮らした、シンガポール郊外の中規模集合住宅を出た。仲良くなったインド系の守衛のおじさんや、世間話好きのマレー系の清掃のおばさんらから「寂しくなるが、お元気で」と声をかけられた。私の子供たちも見守ってもらい、大変お世話になった。

 しっかりお礼をしたい。家内と相談して、少し早いが、「紅包」を渡すことにした。ホンパオと読む。日本の「お年玉」のように、華人が赤いポチ袋に入れて配る祝儀だ。

 シンガポールでは民族の枠を超えて浸透し、わが家も守衛さんらに毎年渡してきた。今年の旧正月は2月16日だが、お祝いの飾り付けも始まっているから違和感はないだろう。中には20シンガポールドル(約1670円)を入れた。

 家をきれいに明け渡すため、天井や壁のペンキ塗りなど慣れないこともした。おかげで、普段は足を運ばない金物屋などでの買い物も経験した。家賃減額による経済効果という転居のもくろみは、雑費増大という「引っ越し貧乏」の“法則”を前に頓挫した。だが、新たな環境や隣人など、得ることも多かろう。

 そういえば、シンガポールの華人には、新居へ転入する際、縁起物のパイナップルを屋内にごろごろと転がし入れる風習もある。帰りに八百屋へ寄っていこう。(吉村英輝)

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