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【産経抄】日本刀は「ものづくり」の原点である 1月24日

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【産経抄】
日本刀は「ものづくり」の原点である 1月24日

 刀剣ブームが続いている。アニメやゲームを通じて、日本刀のファンになった「刀女子」が、展覧会や鑑賞会に多数訪れている。作者や持ち主、斬った相手など、逸話や伝説を知ると、名刀の鑑賞はますます楽しくなる。

 ▼東京国立博物館は、「童子切(どうじぎり)」の号(通称)で知られる国宝の太刀を所蔵している。平安時代の武士、源頼光が、丹波の大江山に住む鬼神、酒呑童子(しゅてんどうじ)をこの太刀で退治したとの由来を持つ。

 ▼童子切は足利将軍家に伝わり、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康へと渡っていく。江戸時代に入って、美作(みまさか)津山の松平家に移り、戦後まで受け継がれてきた。作者は、日本刀の草創期に伯耆国(ほうきのくに)、現在の鳥取県で活躍した名工、安綱(やすつな)である。

 ▼奈良県の春日大社で約80年前に見つかった太刀を研磨したところ、12世紀に作られた日本刀だと分かった。安綱の作品の可能性もある。とすれば童子切と違って、誰の目にも触れないまま何百年も宝庫で眠っていたことになる。

 ▼製鉄技術は、弥生時代に大陸から日本にもたらされたとされる。やがて砂鉄を木炭で還元する「たたら吹き」と呼ばれる独自の技術で、和鉄「玉鋼(たまはがね)」が生み出された。刀工はこの玉鋼に鍛錬と焼き入れなどを繰り返すことで、鋭い切れ味と折れにくさという、両方の機能を日本刀にもたらした。しかも世界に類のない曲線の美を誇る、美術品でもある。日本の製造業、ものづくりの原点は、日本刀にあるといっていい。

 ▼昨年来、検査データの改竄(かいざん)など、大手メーカーによる不正が次々に発覚した。競争力の低下も著しい。世界に誇ってきた日本のものづくりへの信頼が、大きく揺らぎつつある。そんな日本に活を入れるために、名刀は再び姿を現したのではなかろうか。

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