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【日曜に書く】火中の栗を拾う財界総理 政府や与党に是々非々で提言する姿勢を忘れないで 論説委員・井伊重之 

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【日曜に書く】
火中の栗を拾う財界総理 政府や与党に是々非々で提言する姿勢を忘れないで 論説委員・井伊重之 

経団連会長に内定した中西宏明氏 経団連会長に内定した中西宏明氏

 その東芝はいま、米原子力事業の巨額赤字で経営再建の途上だ。副会長の常連だった東京電力も福島原発事故で財界活動から身を引いた。産業界への発言力を考慮し、すそ野が広い製造業から会長を選んできた経団連だが、今後は商社や銀行を含めた金融・サービス業からも人材の抜擢(ばってき)を考えるべきだ。

 経団連は政府に対し、電力の安定供給などのために原発活用を求める立場だ。それだけに原発事業を手がける日立出身者が会長に就けば、「利益誘導」との批判を浴びかねない。そんな懸念も十分に分かった上での会長就任だろう。

◆ときには「嫌われ役」に

 その中西氏には、日立でみせた経営手腕を経団連でも遺憾なく発揮し、民間から日本経済の再生につなげる役割を果たしてほしい。着実な成果を重ねることが、自らへの批判を封じ込めることにもなる。

 ざっくばらんな性格で知られる中西氏だけに、ときに空気を読まず、嫌われ役になることも厭(いと)わないでもらいたい。榊原会長は前会長時代にぎくしゃくした安倍晋三政権との関係の修復に追われたが、政府や与党に是々非々の立場で政策を提言する姿勢を忘れないでほしい。

 政府・与党に注文を付ける以上、自らの責任を果たすことも欠かせない。産業界で相次ぐ品質不正は、日本の製造業への信頼を失墜させた。不正を根絶するためにも実効性ある企業統治を促すことが求められる。

 経団連会長のバトンを引き継ぐのは経済人の重い責務である。皆が嫌な役回りを避けていては何も始まらない。少なくとも中西氏は火中の栗を拾った。その姿勢は評価したい。(いい しげゆき)

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