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【正論・年頭に当たり】優位性が揺らぐロシアの「発言力」を封じ込めよ 北海道大学名誉教授 木村汎

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【正論・年頭に当たり】
優位性が揺らぐロシアの「発言力」を封じ込めよ 北海道大学名誉教授 木村汎

木村汎・北海道大学名誉教授 木村汎・北海道大学名誉教授

 昨年の国際場裏で、良くもあしくも最も大きな影響力を発揮した国は-。こう尋ねられるならば、北朝鮮、米国と並んでロシアと答えて構わないだろう。ロシアは、国民総生産(GDP)でいうと世界で第12位以下である。単なる「地域的大国」(オバマ前大統領)にすぎないはずの存在が、なぜ国際政治で大きな発言力を持ちうるのか。そして、今年もまた、ロシアはそのような神通力を維持できるのだろうか。

 3つの優位性がぐらつき始めた

 ロシアは、他国に比べ次の3つの点で優位な立場に立つ。

 第1は、国連安保理の常任理事国として拒否権を行使できることだ。とはいえ昨年来、中国がロシアと必ずしも足並みを揃(そろ)えず、ロシアが拒否権を発動しても、中国が棄権したり賛成に回ったりするケースが起こり始めた。中国が今後も独自の行動を選択するならば、世間はロシアの「ニエット(露語の『ノー』)」外交に対する風当たりを強くするだろう。

 第2は、ロシアがヨーロッパとアジアの両方に跨(また)がる大陸国家であること。そのためにロシアは両地域で生起する全ての事柄に関わる権利を持つと主張する。現に、北朝鮮の核保有をめぐる「6者協議」に参加していた。ところが、ヨーロッパや特にアジア諸国側はロシアを必ずしも、自分たちの正式メンバーとは認めていない。

 第3は、ロシアが世界有数の資源大国である点だ。しかし近年、米国はシェール・オイルやガスの開発に成功し、世界一の資源大国の地位に躍り出た。2014年7月以来の国際的な原油価格の暴落や、先進7カ国(G7)がロシアに科している経済制裁によって、資源依存型のロシア経済は苦境に陥っている。これらの理由で、ロシアはエネルギー資源を政治的、外交的な手段として有効に使えなくなりつつある。

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