産経ニュース

【正論 新春対談】渡辺利夫氏 明治人を育んだ幕藩体制「明治150年、覚醒始まる」 新保祐司氏 強い民族に歴史回想の力「海道東征」はモーセ

ニュース コラム

記事詳細

更新

【正論 新春対談】
渡辺利夫氏 明治人を育んだ幕藩体制「明治150年、覚醒始まる」 新保祐司氏 強い民族に歴史回想の力「海道東征」はモーセ

対談に臨む新保祐司氏(左)と渡辺利夫氏=東京・大手町の産経新聞社(いずれも飯田英男撮影) 対談に臨む新保祐司氏(左)と渡辺利夫氏=東京・大手町の産経新聞社(いずれも飯田英男撮影)

 敗戦後、連合国軍総司令部(GHQ)に与えられた枠の中で思考していた日本人。世界の秩序が溶解しつつあるいま、新たな思考の「足場」を求め始めたようだ。それは自らの歴史の中にある。それも遠い昔ではなく、明治という時代に。第33回正論大賞の受賞が決まった文芸批評家の新保祐司氏と東アジア開発経済学の泰斗で拓殖大学学事顧問の第27回同賞受賞者、渡辺利夫氏に語ってもらった。(司会・構成 産経新聞文化部 桑原聡)

 桑原 あけましておめでとうございます。新保先生、正論大賞受賞、誠におめでとうございます。本日は渡辺先生をお迎えして、日本人が自身の歴史を取り戻すには何をなすべきか、存分に語りあっていただきたいと考えています。まず、新保先生の発案と言論によって実現した「海道東征」(注〔1〕)の復活演奏会からお話を始めていただきたいと思います。この出来事は戦後の日本文化史において真にエポックメーキング的なものでした。

 新保 ずっと感じていたことなんですが、日本人は自分の歴史をきちんと回想する力を失ってしまったのではないか、と。

 渡辺 確かに。敗戦後、戦前を悪とたたき込まれてから、日本人はその力を喪失してしまったようですね。

 新保 私は思うんです、回想というのは一種の創造でしょう。

 渡辺 実にみごとな表現です。

 新保 大伴家持(やかもち)は中年になって、朝廷の親衛隊である大伴氏の「言立(ことだて)」を回想することで、自分のなすべきことを自覚しました。個人も民族も回想する力がなければ、ただ流される浮草のような存在になってしまいます。結局、民族の力とは歴史を回想する力に尽きます。強い民族は、自分たちの歴史をしっかりと覚えている。戦後の日本人は歴史を忘れ過ぎています。だから浮草になってしまう。弱い。神武天皇も知らなければ、神武東征も知らない。ほかの民族ではありえないことではないでしょうか。アブラハムを知らないユダヤ人を想像できますか。

 渡辺 その意味で「海道東征」の復活演奏会が日本各地で何度も開かれたのは本当に慶賀すべきことでした。

 桑原 新保先生が言論で「海道東征」の復活演奏会をアピールし始めたころ、正直に告白すれば、今の日本では困難だろうと思っていました。この10年で日本人の心のありようはずいぶん変わってきたように思います。

 渡辺 時代の潮目は、あとで振り返らないと分からないことが多いですからね。新保さんは、復活上演実現の決め手は何だったと考えますか。

続きを読む

このニュースの写真

  • 渡辺利夫氏 明治人を育んだ幕藩体制「明治150年、覚醒始まる」 新保祐司氏 強い民族に歴史回想の力「海道東征」はモーセ
  • 渡辺利夫氏 明治人を育んだ幕藩体制「明治150年、覚醒始まる」 新保祐司氏 強い民族に歴史回想の力「海道東征」はモーセ
  • 渡辺利夫氏 明治人を育んだ幕藩体制「明治150年、覚醒始まる」 新保祐司氏 強い民族に歴史回想の力「海道東征」はモーセ

「ニュース」のランキング