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【産経抄】金正恩委員長の狙いは明らか、米韓同盟にくさびを打ち込もうとしている 1月3日

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【産経抄】
金正恩委員長の狙いは明らか、米韓同盟にくさびを打ち込もうとしている 1月3日

2018年の「新年の辞」を発表する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮中央通信撮影・共同) 2018年の「新年の辞」を発表する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮中央通信撮影・共同)

 元日は、塩野七生(ななみ)さんの『ギリシア人の物語I』を読んで過ごした。記述のほとんどが、アケメネス朝ペルシアとギリシア都市国家の連合軍との戦争に費やされている。紀元前479年、ペルシア王の重臣だったマルドニウスは一計をめぐらす。

 ▼アテネ政府に単独講和を持ちかけたのだ。目的は、アテネとスパルタをはじめとする他の都市国家の間を裂くことにあった。アテネはこの申し入れを逆に利用する。いかに最終決戦の勝利に結びつけたのかは、ぜひ本文で確かめていただきたい。

 ▼北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が1日、テレビで「新年の辞」を発表した。「核のボタンが私の机の上に置かれている」。米国に対しては、いつでも核攻撃できると威嚇する。その一方で、凍結状態にある南北関係の改善を訴え、韓国に歩み寄りの姿勢を見せた。マルドニウスの申し入れ同様に、その狙いは明らかである。米韓同盟にくさびを打ち込もうとしている。

 ▼来月開催される平昌(ピョンチャン)冬季五輪への代表団派遣にまで、言及している。金氏の呼びかけに対して、韓国政府は早速「歓迎する」との論評を発表した。もっとも、米国が非核化を前提としない北朝鮮との対話を認めるはずがない。

 ▼1987年の大韓航空機爆破事件は、翌年開催のソウル五輪を妨害するために北朝鮮が起こしたテロだった。古代ギリシアで生まれた五輪が、朝鮮半島の行方をめぐって再び大きな意味を持ちつつある。

 ▼ペルシアとの戦いの後、ギリシア人は100年余りの平和を享受することができた。「権力者も普通の人もふくめた当事者全員の安全保障への努力」の成果だ、と塩野さんは指摘する。北朝鮮による核・ミサイル危機に立ち向かう、日米韓すべての国にあてはまる。

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