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【産経抄】フジモリ家のお雑煮 12月26日

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【産経抄】
フジモリ家のお雑煮 12月26日

ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領(AP) ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領(AP)

 南米ペルーのフジモリ元大統領(79)の母、ムツエさんは、熊本県に生まれた。21歳で夫とともに移住して、病弱な夫の分まで働き、3男2女を育てあげた。小紙の元論説委員長、千野境子さんがムツエさんの半生記「遙かな道」を連載したのは、日系人初の大統領が誕生してから1年後の平成3年だった。

 ▼その後に起こったペルー日本大使公邸占拠事件では、人質となる。幸い犯人に大統領の母とは気づかれず解放された。ムツエさんが96歳で波瀾(はらん)万丈の生涯を終えてからも、フジモリ家の「遙かな道」は続いている。どうやら2人の孫を主役とする、内紛の物語になりつつある。

 ▼ペルー政府は、在任中の人権侵害事件で禁錮25年の刑に服しているフジモリ氏に、恩赦を与えることを決めた。汚職疑惑が浮上しているクチンスキ大統領が、議会による罷免決議を危うく逃れた一件と関係がありそうだ。

 ▼決議案を提出したのは、議会で過半数を占める野党である。フジモリ氏の長女、ケイコ議員が党首を務めている。クチンスキ氏は恩赦を条件に取引を持ちかけ、野党の一部議員が応じて棄権した。そのなかに弟のケンジ議員が含まれていた。

 ▼ケイコ氏は過去2回、大統領選に挑んで敗れている。左翼ゲリラを掃討したフジモリ氏の功績を評価する声がある一方で、強権政治に対する非難も根強かった。父親との違いを明確に打ち出す必要があり、表向きには恩赦を求めにくい。そんなケイコ氏の面目は、弟の行動によって丸つぶれとなった。ケンジ氏の狙いは次期大統領選出馬との見方もある。

 ▼千野さんによると、フジモリ家は全員、ムツエさんのお雑煮が大好物だった。残念ながら、そんな和気藹々(あいあい)とした正月はとても望めそうにない。

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