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【産経抄】「談合」は世界に誇れる日本文化か 12月21日

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【産経抄】
「談合」は世界に誇れる日本文化か 12月21日

リニア中央新幹線建設工事の入札不正事件で、家宅捜索を終えて清水建設を出る東京地検特捜部の係官らを乗せた車両=18日午後、東京都中央区(福島範和撮影)  リニア中央新幹線建設工事の入札不正事件で、家宅捜索を終えて清水建設を出る東京地検特捜部の係官らを乗せた車両=18日午後、東京都中央区(福島範和撮影) 

 山梨県上野原市に「談合坂」という地名がある。社会学者の加藤秀俊さんによると、近隣の村人が集まって「談合」、つまり話し合いをする場所だった。北条、武田といった戦国大名が交渉した、との説もある。

 ▼「談合によって無用の摩擦や戦乱が回避されたのかもしれない」。加藤さんは、祖先の知恵として談合を弁護する(『常識人の作法』)。確かに、地域のもめ事を解決するには、最適の手段だった。

 ▼もっとも、総工費9兆円の超大型事業となると話が違ってくる。「大林組」「鹿島」「清水建設」「大成建設」の大手ゼネコン4社は、リニア中央新幹線の建設工事をめぐって、不正な受注調整を行った疑いがもたれている。4社は平成17年12月に、世論の批判を受けて談合との「決別宣言」をしたはずだ。なぜ悪習を断ち切れないのか。無駄な競争に精力を費やすより、仕事を分け合って工事に集中したい。これが4社の本音であろう。

 ▼ただ、談合によって工事費が高騰し乗車賃に上乗せされれば、結果的に国民の不利益となる。発注元のJR東海には、財政投融資で3兆円もの公金がつぎ込まれている。不透明な入札が許されるわけがない。

 ▼10年後に開業するリニアは、東京・品川-名古屋間をわずか40分で結ぶ。超電導磁石によって車体を浮上させる、日本の独自技術が生んだ「夢の超特急」である。全区間の約9割を占めるトンネル工事には、世界トップレベルの日本の掘削技術が挑む。前代未聞のプロジェクトには、世界が注目している。「談合」もまた、日本が誇る文化だと、胸を張って言えるだろうか。

 ▼昨日のコラムで、日本地図の「西海省」は「東海省」、「東北自治区」は「日本自治区」の誤りでした。

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