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【産経抄】CIAはロシアの敵か味方か 12月19日

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【産経抄】
CIAはロシアの敵か味方か 12月19日

 米中央情報局(CIA)のモスクワ支局長に赴任したばかりのマイク・クラインの自宅に電話がかかってきた。相手はソ連国家保安委員会(KGB)幹部のレム・クラシリコフだった。「ガヴリロフだが、明日ちょっと会わないか」。冷戦末期の1989年11月の出来事である。

 ▼壮絶なスパイ戦を繰り広げていた両機関の間には、「ガヴリロフ・チャンネル」と呼ばれるホットラインが存在していたらしい。2人は翌日、短い会話を交わし、ヘルシンキでの会談を決める(『ザ・メイン・エネミー』ミルト・ベアデン、ジェームズ・ライゼン著)。

 ▼ソ連解体後、KGBの任務を引き継いだロシア連邦保安局(FSB)とCIAの間には、どんなチャンネルがあるのか。FSBは15日、サンクトペテルブルクのカザン大聖堂などで、自爆テロを計画していた7人を拘束した。過激派組織「イスラム国」(IS)に関係しているという。大惨事を未然に防げたのは、CIAがもたらした情報のおかげである。

 ▼ロシアのプーチン大統領がトランプ米大統領との電話会談のなかで、謝意を示した。共通の脅威であるイスラム過激派に対して、両国の情報機関が連携するのは当然である。と言いたいところだが、どうも引っかかる。

 ▼昨年の米大統領選で、ロシアが当時のトランプ候補を勝たせるためにクリントン陣営にサイバー攻撃をかけた。こう分析したのは、他ならぬCIAだったからだ。ロシアとトランプ陣営との癒着疑惑については、今も捜査が続いている。

 ▼トランプ大統領が、KGB出身のプーチン大統領に手玉に取られている。そんな疑いがぬぐえない。「ザ・メイン・エネミー」(主たる敵)を米国が見失っているとすれば、一大事である。

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