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【主張】WTOの機能不全 米国離反とどめる努力を

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【主張】
WTOの機能不全 米国離反とどめる努力を

 世界貿易機関(WTO)が事実上の機能不全に陥っている。憂慮すべき事態である。

 アルゼンチンでの閣僚会議は先進国と途上国の対立が解けず、6年ぶりに閣僚宣言を出せずに閉幕した。世耕弘成経済産業相は「何も決められない組織として漂流する懸念を持った」という。

 看過できないのが、WTO批判に終始した米国である。改革の必要性を訴えたことはいい。問題はそのために汗を流すどころか、足を引っ張ったことだ。

 WTOの多角的貿易交渉が限界にあるなど、現行体制には多くの課題がある。ただ、164カ国・地域が加盟し、国家間の紛争解決制度を備える存在意義は大きい。この認識を共有し、WTO体制を強化することが肝要だ。

 WTOルールより国内法を優先するトランプ政権の自国第一主義は、そう簡単に変わるまい。それでも日本や欧州は、米国がWTOに背を向けないよう粘り強く働きかけるべきである。

 閣僚会議では漁業補助金などが議論されたが、これを禁じたい先進国と、例外扱いを求める途上国の溝が埋まらなかった。

 先進国と途上国が対立する構図は長年の課題だ。米通商代表部のライトハイザー代表は中国を念頭に「途上国を自称し、例外規定を享受している」と批判した。

 米国の不満には理解できる面もある。WTOルールに従っても、中国などの不公正な貿易慣行が改まらない現実があるからだ。

 外国製品への反ダンピング(不当廉売)関税などをめぐり、WTOの紛争処理で米国が敗訴する例が多いことへの反発もある。控訴審に当たる上級委員会の人選は、米国の反対で遅れている。

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