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【主張】
不正絶てぬゼネコン業界 リニア入札不正 徹底捜査で全容解明急げ
JR東海が手がけるリニア中央新幹線の建設工事をめぐり、東京地検特捜部が偽計業務妨害の容疑で、大手ゼネコン「大林組」の本社を家宅捜索した。
入札の公正なルールを破り、一部の工事を不正受注した疑いがある。
特捜部は、他の大手ゼネコン役員や、JR東海の担当社員からも聴取を進めている。国家的な大事業をめぐる不正だけに影響は大きい。徹底した捜査で事件の全容解明を急がなくてはならない。
民間企業の発注工事だが、公共事業でなくても不正な受注行為は許されない。公正な入札が妨害されて本来より高値で工事が発注されれば、その差額は利用者が支払う料金に跳ね返るからだ。
リニア新幹線は、今後20年にわたって建設工事が続く。JR東海も入札方式の見直しを含め、透明性の確保に努めるべきだ。
不正の疑いが持たれているのは名古屋市の非常口新設工事だ。大林組など3社の共同事業体が約90億円で受注した。大林組には、工事を受注できるよう他のゼネコンに働きかけた疑いがある。JR東海の担当者が工事情報を漏洩(ろうえい)した疑いも浮上している。