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【産経抄】12月17日

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【産経抄】
12月17日

 東京都心のイチョウ並木は年越しの準備に忙しい。師走の声に、寒波が重い腰を上げたせいであろう。歩道に散り敷く落ち葉が目を引き、黄金色のじゅうたんに照り返る冬日は目に痛い。慌ただしい年の瀬である。

 ▼気まぐれな空模様には、イチョウも人も泣かされた。東日本に続いた今夏の長雨を「閉口雨続」とは言い得て妙である。世相を映す年末恒例の「創作四字熟語」を、住友生命が発表した。「蟻来(ありきた)迷惑」や「荷労(にろう)困配」は達意の作で、字面だけで出来事が思い浮かぶ。

 ▼「J音無事」は今年の漢字「北」への見事な切り返しだろう。「中央習権」にも膝を打つ。虎もハエもたたいた後はほこりも立たず、隣国に残ったのは民主主義の骸(むくろ)だった。米国第一主義のトランプ氏は右から左か。「万事虎風(とらふう)(馬耳東風)」の嫌みにも味がある。

 ▼将棋の藤井聡太四段は「棋聡天才」の29連勝を成し遂げ、「九九八新(きゅうきゅうはっしん)」した陸上の桐生祥秀選手は日本人初の9秒台を記録した。夏と秋は大人の事情による「政変霹靂(へきれき)」で、何かと騒がしく過ごしにくかったものの、若者の活躍を一服の清涼剤とした人は多かろう。

 ▼小欄も創作で回顧を。元横綱日馬富士の暴行で、貴乃花親方は何を思う。現役時代に誓った不撓(ふとう)不屈か「沸騰鬱屈」か。富岡八幡宮の宮司殺害は元宮司による「神鬼一転」の所業だった。一部新聞の「忖度(そんたく)勘定」に端を発し、全メディアが報道姿勢を問われもした。

 ▼ちまたに張り巡らされた読者のアンテナは、実に感度が鋭い。メディアが世間の批評にさらされる時代、背筋を伸ばして新たな年に備えたい。えとはトリからイヌへと「鳥散暮至(ちょうさんぼし)」、多端の年も余日わずかとなった。思い思いの「余事熟語」で、行く年を惜しむのもよろしかろう。

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