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【主張】英EU離脱交渉 混乱避け将来像の明示を

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【主張】
英EU離脱交渉 混乱避け将来像の明示を

 英国の欧州連合(EU)離脱交渉で、「第1段階」と位置付けられる離脱条件について、メイ英首相とユンケル欧州委員長が基本合意した。

 双方の主張の隔たりや英政権内部の意見対立で難航を極めた協議が、ようやく前進した。決裂回避に向けた双方の対話努力をまず評価したい。

 だが、交渉の本番はこれからである。年明けから始まる「第2段階」では英国とEUの将来的な通商関係などが協議される。これをどう構築するかは、日本や世界の経済に影響を及ぼそう。

 交渉期限は2019年3月までで、残された時間は少ない。世界経済が混乱することがないよう、協議を加速させ、離脱への道筋を具体化してもらいたい。

 15日のEU首脳会議で第2段階移行が正式に決まる。今年6月に始まった交渉では、英国とEU加盟国に暮らす双方の市民の権利保護や、英国側が払う未払い金などの離脱条件が話し合われた。

 最後までもつれたのが、EU加盟国のアイルランドと、英領北アイルランドの国境問題だ。自由に往来できる現状の維持を確認しつつも、具体策を将来協議に先送りした。交渉の遅れを避けるための現実的判断だろう。

 第2段階では、これまで以上の難関が待ち構えている。そのひとつが「移行期間」をどう設定するかだ。英国は離脱後2年程度の移行期間を求めており、その間は市場アクセスなどで現状を維持したい考えである。

 英国には約1千社の日本企業が拠点を置く。外国企業に配慮するためにも離脱の激変緩和措置は必要だ。ただ、EU側は、その期間は予算や規制について加盟国と同等の義務を英国も負うべきだとしている。これに英国の強硬派が反発することも予想されよう。

 欧州統合は多難な時期だ。域内では排外的な主張や大衆迎合主義が勢いを増す。要のメルケル独政権は連立交渉の難航で求心力が低下しつつある。統合深化への歩みが英国離脱で後退することのないよう双方が知恵を出すべきだ。

 日本は、先にEUとの経済連携協定(EPA)交渉を妥結させたばかりだ。日本にとって英国とEUは、いずれも自由貿易や民主主義、法の支配という基本的価値を共有し、安全保障で協力を深める重要な存在である。その意味でも円滑な協議が望ましい。

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