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【正論】足元の地下水に襲われるドイツ 難民の急増に極右政党が躍進 メルケル氏の寛容な難民政策が裏目に 予断許さぬ大連立 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛

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【正論】
足元の地下水に襲われるドイツ 難民の急増に極右政党が躍進 メルケル氏の寛容な難民政策が裏目に 予断許さぬ大連立 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛

佐瀬昌盛・防衛大学校名誉教授 佐瀬昌盛・防衛大学校名誉教授

 大連立で苦難は乗り切れるか

 メルケル首相は就任からすでに12年、世界主要国中で最長の在任記録保持者である。在任16年の故コール首相にはまだ及ばないが、仮に今期4年を乗り切れるならば、戦後最長の首相経験者にもなりうる。が、事は今後の連立交渉にかかっている。

 理論上はCDU・CSU、自由民主党(FDP)、緑の党の3党連立か、SPDとの大連立、もしくはCDU・CSUの単独少数政権しかない。首相の議会解散権は憲法上厳しく制限されているので事実上、行使できない。また、FDPが3党連立への参加を拒否したので、SPDとの2党連立しか道は残されていない。

 しかし総選挙から2カ月以上が過ぎたのに、大連立の道は依然として定かでない。その一因はメルケル首相の難民政策の甘さにある。最近の世論調査によると、同首相の難民政策を「よし」とする声は45%、「よくない」は51%である。その寛容な難民政策は裏目に出てしまった。

 極東で演じられているのは、ドイツ近代史学にいうところの「大きな政治(グローセ・ポリティーク)」である。そこでは大小の政治権力者が「秘術」を尽くして自国の利益、自己の利益を求めて争う。だが、いまのドイツを苦しめているのは、いわば足元の“地下水”をどう処理するかという問題である。それは政治家の目線では処理至難なのだろうか。(防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 させまさもり)

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