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【正論新風賞・喜びの言葉】小川榮太郎氏「古典との対峙を疎かにする民族に文芸の未来はあり得ない」

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【正論新風賞・喜びの言葉】
小川榮太郎氏「古典との対峙を疎かにする民族に文芸の未来はあり得ない」

文芸評論家の小川榮太郎氏 文芸評論家の小川榮太郎氏

 前者は、今や、記紀万葉以来昭和まで連綿と続いた文藝伝統の急速な終焉(しゅうえん)の危機を迎えています。文藝は自分の思いを好きな言葉に託せばいいというものではありません。T・S・エリオット、小林秀雄、福田恆存らを引くまでもなく、それは伝統に連なることで伝統を新しくし、「国語という大河」に深く身を浸すことによって、新たな美と表現を国語から偸む営みに他なりません。古典との対峙(たいじ)を疎かにする民族に文芸の未来はあり得ないのです。

 一方、日本の現実は、GHQ以来の「閉ざされた言語空間」による国民の囲い込みを巡る最終戦争に入ったかのように見えます。そこでは、書を捨て、言語空間を不当に支配する者たちへの戦いを挑み続ける荒業と緊迫が続きます。

 いわばこうした正反対の営みの中で、自分の言葉や節操をどう守り続けるかを忘れれば、両者の間の深淵(しんえん)に身を落とすだけだという覚悟が、私を支えてきました。

 戦いは厳しく孤独です。この危機の年の瀬に正論新風賞。孤独に疲れた翼を支える強く温かい上昇気流のように、心に強く響きます。

 心からの感謝を申し上げて謝辞といたします。

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