産経ニュース

【正論】本居宣長の「保守主義」に学び、「自然のまま」「神の所為」を大事に 日本大学教授・先崎彰容

ニュース コラム

記事詳細

更新

【正論】
本居宣長の「保守主義」に学び、「自然のまま」「神の所為」を大事に 日本大学教授・先崎彰容

日本大学の先崎彰容教授 日本大学の先崎彰容教授

 不毛なイデオロギー論争を拒絶

 さて、以上の宣長から20歳の私がつかみだしたものとは何か。

 それは西洋思想であれ、日本の保守思想家を発掘するものであれ、昨今のあらゆる「保守的」な発言が、全てイデオロギーを求めていることへの違和感であった。歴史と伝統、もののあはれ、わび・さびから武士道に至るまで、保守は日本的な価値観を探しだそうと必死なのだ。

 しかし、ある価値観こそ正しい、日本的だと言った瞬間、それは違う、私の考える価値観は…という争いが始まってしまう。解釈を競い合うイデオロギー論争が起きる。宣長が拒絶したのは、こうした不毛な人間同士の思想劇であった。西洋文明にたいして、東洋的・日本的価値観は…これら全ては、宣長にとって「からごころ」にすぎない。いくら論争しても、相対的な価値の一つに日本が成り下がってしまうからである。

 今日、ネトウヨに代表される日本主義者?はもちろん、誠実な保守主義者も含めて、宣長の決定的な破壊力を指摘することはない。不惑の私は、今後、正面から宣長に取り組む所存だ。(日本大学教授・先崎彰容 せんざきあきなか)

「ニュース」のランキング