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【風を読む】本当のことを説かない「代償」 日韓は安保の基礎的構造を自国民に説明すべきだ 論説副委員長・榊原智

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【風を読む】
本当のことを説かない「代償」 日韓は安保の基礎的構造を自国民に説明すべきだ 論説副委員長・榊原智

 北朝鮮・北部慈江道の「鴨緑江タイヤ工場」を視察する金正恩朝鮮労働党委員長。日時は不明。朝鮮中央通信が3日配信した(朝鮮通信=共同)  北朝鮮・北部慈江道の「鴨緑江タイヤ工場」を視察する金正恩朝鮮労働党委員長。日時は不明。朝鮮中央通信が3日配信した(朝鮮通信=共同)

 日韓の両政府は、安全保障をめぐり双方が死活的に重要な関係にあることを、自国民に知らせる努力を怠ってきた。

 日本は国民の安全を損なう議論ばかりする「空想的平和主義」勢力の反発を、韓国は「国是」である反日の風潮に逆らうデメリットを恐れたのだろう。

 だが、本当のことを説明しない弊害は、北朝鮮危機が進むにつれ、あらわになってきた。

 在韓邦人の退避について、日韓は何の取り決めも結んでいない。有事に備えた共同軍事演習にしても、日韓は米軍とは個別に行っても、日米韓の枠組みでは弾道ミサイル防衛以外はしていない。日韓の2国間演習など想像もつかない。韓国側は歴史問題で日本攻撃を続けている。

 笑うのは北朝鮮の独裁者だ。

 北朝鮮による新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受け、ティラーソン米国務長官は「朝鮮国連軍」参加国に、日本などの関係国を加えた国際会議を開くことを明らかにした。

 なぜ日本が加わるのか。

 朝鮮戦争は休戦中にすぎず、日本は、有事の際の国連軍への協力を期待され、また約束もしているのである。日本は昭和29年以降、米英仏豪など11カ国と「国連軍地位協定」を結んでいる。国連軍としてこれらの国々の軍が、日本国内の基地、空港、港湾などを使うのを認めるための条約だ。横田基地には国連軍後方司令部がある。横田のほか横須賀、佐世保、嘉手納、普天間などの在日米軍基地は国連軍指定基地でもあり、ブルーの国連旗が翻っている。

 国連軍地位協定の目的は「十分な兵站(へいたん)上の援助」だ。近代戦の遂行に欠かせない補給への日本の協力、関与である。

 日本には、朝鮮半島が敵対勢力に制圧されるのを防ぐという大きな利点がある。韓国は、日本の協力なしにそもそも国の防衛が成り立たない。

 日韓の両政府は、国連軍を介した日韓、日米韓の安全保障の基礎的構造を、自国の政官や国民に急ぎ、徹底して説明すべきだ。国内の軋轢(あつれき)を恐れてばかりでは、北朝鮮の脅威にリアルな備えをとることができない。

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