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【正論】「国家の役割」はなくならない 新潟県立大学教授・袴田茂樹

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【正論】
「国家の役割」はなくならない 新潟県立大学教授・袴田茂樹

新潟県立大学の袴田茂樹教授 新潟県立大学の袴田茂樹教授

 ≪21世紀は道徳的になったか≫

 かつて英国の外交専門家R・クーパーは2003年に、グローバル化が進展する21世紀には、国民国家とか国家主権、領土、国境などというものは博物館行きになり、世界は国益の衝突がなくなってより道徳的となり、世界のさまざまな紛争は国際法に基づき、国連や国際司法裁判所で解決できると述べた(『国家の崩壊』)。

 これに対して欧州連合(EU)統合の推進者でフランス社会党政権の外相でもあったH・ヴェドリーヌは07年に、国家には国家固有の役割があり、国連や国際機関がそれに代わることはできない。また「文明の衝突」も、「文明の対話」では解決できない。今の世界は国の力の「過大」ではなくその「過小」に苦しんでいる、と述べた(『「国家」の復権』)。

 国家を超克した人類の新たな共同体のお手本とされたEUも、英国の離脱、移民をめぐる国家間の対立、民族主義の台頭やカタルーニャの独立問題などで混乱している。世界に国際公共財、すなわち理念とルールと秩序を与えようとした米国も今や「自国利益第一主義」を標榜(ひょうぼう)し、一方、中国が大国としての野心を露(あら)わにしている。今日における「国家の意味」を考えたい。

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