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【産経抄】神様に恵みを感謝するどころか… 11月23日

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【産経抄】
神様に恵みを感謝するどころか… 11月23日

 俳人の坪内稔典(ねんてん)さんは、毎年「勤労感謝の日」がやってくると、胸がキュンとなるそうだ。坪内さんの故郷、愛媛県西部の佐田岬の中ほどにある村では、「ほごこかし」と呼んでいた。

 ▼「ほご」は畑仕事に使う俵、「こかし」は転がす。つまり、秋の仕事じまいを意味する。この日は大人も子供も町に出て、買い物や食事を楽しんだ。小学5年生の坪内少年は初めて本屋に入って、文庫本の若山牧水の歌集を買った。それが俳人としての原点だという(『モーロクのすすめ』岩波書店)。

 ▼小紙の読者には、祝日の由来の説明は不要だろう。宮中では本日、新嘗祭(にいなめさい)の儀式が行われる。身を清めた天皇陛下が、神々に新穀を供えて神恩に感謝し、自らもお召し上がりになる。宮中祭祀(さいし)のなかでもっとも重要な儀式である。

 ▼その起源は史料として『日本書紀』に残るほど古い。朝廷だけではない。坪内さんの故郷のように、各地の農村ではそれぞれの呼び方をしながら、収穫を祝い、農作業の疲れを癒やす特別の日としてきた。現在でも全国の神社では、その年に取れた米や新米で造った酒、果物、魚などを神前に捧(ささ)げる、新嘗の祭りが行われている。

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