産経ニュース

【風を読む】破られた賞状…時代が違うだけなのか 論説副委員長・別府育郎

ニュース コラム

記事詳細

更新

【風を読む】
破られた賞状…時代が違うだけなのか 論説副委員長・別府育郎

 選手は涙を流してグラウンドに散り、18-13で日本一に輝いた。上田さんはその後、トヨタ自工を退社した。

 後日、本人に聞いた。「賞状はコピーですよ。本物を破れるわけがないじゃないですか。怒られてしまいます。胸のポケットは、前夜に糸を抜いてマジックテープで貼り付けたんです。ベリッと音が出るように」

 当時、上田さんの人となりをうかがえるエピソードとして書いた。否定的な思いも反応も、全くなかった。破ったのがコピーだったという上田さんのちゃめっ気がそうさせたのか。時代が違うだけなのか。

 「勝利絶対主義」が非難の対象であるなら、双方の行為に差異はない。だが、勝利を目指さない対戦競技はあり得ない。

 あなたなら、どう答えるだろう。上田さんにも聞いてみたいが、すでに一昨年、62歳の若さで亡くなっている。

「ニュース」のランキング