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【日曜に書く】「弱虫ぽー」が教えてくれた 論説委員・山上直子

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【日曜に書く】
「弱虫ぽー」が教えてくれた 論説委員・山上直子

 そんな彼を病魔が襲ったのは数年前のことだ。治る見込みの少ない腎臓病だった。薬や点滴で治療を続けたが、しだいに痩せて弱っていく。最後は食事もできなくなり、鼻からチューブを入れて栄養補給をした。

 「それでもけっこう元気で、自分でトイレにも行けましたよ」とお父さん。最後はお父さんにからだをさすられながら、息を引き取ったのだった。

 彼の名は、ぽー。ちょっと変わった尻尾の模様から、そう名付けられた雑種ネコである。

広がる共感

 いじめられても、生来のやさしさを失わず、懸命に生きたぽーの物語が、先月、フォトエッセー「やさしいねこ」(太田康介著、扶桑社)として出版された。筆者で元戦場カメラマンの太田さんが、その“お父さん”である。ネット書店のランキングでもペット部門の1~2位を維持して人気だが、背景には、ぽーの生き方に共感した著名人らの後押しがあった。

 そのうちの一人は、セリフが心にしみると人気のマンガ「夜廻り猫」の作者、深谷かほるさんである。「泣く子はいねが~」とさまよい歩くはんてん姿のネコが、悩みや苦しみを抱えた人に寄り添い、黙って話を聞いてくれる人情マンガだ。太田さんの話を基に作品を書き下ろし、エッセーにも収録された。

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